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執筆者の写真岸田直樹

感染症コンサルタントって何してるの?? ”感染症コンサルタント岸田が教える どこまでやるの!?感染対策” ケアネットDVD


「感染症コンサルタント岸田が教える どこまでやるの!?感染対策」というDVDをケアネットから出させていただきました。岸田はICD(インフェクションコントロールドクター)はありますが、感染対策の真の専門家ではないのです。しかし、感染症コンサルタントの仕事として、この切り口のニーズがとても高いと感じます。DVDは神戸大学の岩田健太郎先生からもご紹介いただきました。岸田の早口を1.5倍速で聞けるってすごいです。。。 ありがとうございますm(_ _)m ICTで購入してICTでの勉強会などで使うのがいいかなと思います。200分近くもありますので…。

 ところで、”感染症コンサルタント”なる肩書で現在活動しているのですが、具体的に何をしているのか?こんな立ち位置で生きていけるのか?仕事といっても講演で全国行脚をしているのでは?などなど思われていてもおかしくはないですので、簡単にですがここに活動内容をご紹介させていただきたいと思います。

-感染症コンサルタントって何をしているの??

 DCCのセンター長をされている大曲先生のところ(以前はSCC)で感染症を学びました(大曲先生に関してはこの記事が岸田は好きです)。その後古巣に戻り、急性期総合病院で感染症科チーフ兼感染対策室長として様々な介入をさせていただきました。当然自分一人だけの力ではないのですが耐性菌は大きく減りました。例えば、黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合なんかも半減しました。ところが、まわりの病院では相変わらずの現状でした。。。このように耐性菌を減らすことは、耐性菌の分布に地域差が大きいように、実はある程度までは一つの病院(地域)が独り勝ちすることはまったくもって不可能ではないのですが、地域連携程度のかかわりでは周りの病院の耐性菌を減らすのは難しく、これで本当によいのか?と日々悩みました。このノウハウをできるだけ早く多くの病院に広めることができたらという思いがあり、そのような立ち位置をお許しいただけないかといろいろ所属先を探したのですが、このような活動を許していただける病院などなかったため法人を立ち上げたわけです。いまでもこのような活動をご理解いただき雇っていただける病院があれば喜んで就職したいと思っていますので、ご連絡をお待ちしています。

-キーワードは”現状の把握”

 具体的に何をしているか?ですが、それなりの介入をするためには、最低月1回は訪問させていただく形で出向き、介入をする前に、まずは”現状の把握”をさせていただいています。つまり、耐性菌の現状、血液培養の2セット採取率・採取件数、アンチバイオグラム、抗菌薬使用量などその病院のデータを出すをお手伝いをします。この現状を踏まえて、日本・世界の現状と比較してどういう状況にその病院があるか?を分析し、介入の優先順位を設定します。簡単に言えば耐性菌を半減させるべくいつまでにどのようにしたらよいか、そのためにどんな介入が病院として受け入れやすいかを病院の現状・ニーズごとに決めています

 介入は様々で、臨床感染症のコンサルトを受けるだけではなく、感染症は教育・啓蒙活動が大切ですしそれが自分の専門でもありますので訪問時には必ず感染症勉強会を開催します。またDVDでもご紹介していますが、”マイクロバイオロジーラウンド”を実施して、培養結果の迅速な発信システムを構築するのをお手伝いしたりしています。そのような介入の中でも実は、感染対策の情報発信・サポートのニーズはとても大きいと感じます。

 感染症には臨床感染症(診断・治療)と感染対策の大きく2つの側面があり、自分は前者の専門家なのですが、仕事の比率は5:5くらい(場合によっては3:7)かなと思います。ICD(インフェクションコントロールドクター)という肩書を持ってはいますが、感染対策の真の専門家は感染対策看護師さんです。ところが、良くも悪くも日本は医師を頂点としたヒエラルキーがありますので、感染対策のプロジェクトを実行するためにも医師(特に感染症専門医)からの“鶴の一声”のニーズは高いです。とくに理想の感染対策はわかってはいても、実際のところ自分の病院でどこまでやるか?の現場目線での妥当な線引きが感染対策では難しく、その調整役もさせていただいています。理想を振りかざしても敵をつくるだけになってしまいます。また、感染対策は現状からは問題山積みなのですが、現場が問題と思っていないときに介入しても必要とは思われていませんのでうまくいきません。コツとしては、あまり良い言い方ではないですが、感染対策に関する小さなインシデントは意外に起こっていますので、それを無視しないでいかに大きく見せるか?というかなあなあで終わらせないで適切に対応するか?をひとつひとつ丁寧にやっていくことが、ひいてはその病院のニーズにあった介入につながり、このような手法を重視しています。

         *こんなアイデアポスター、キャンペーンなんかも感染対策ではとても効果的という文献があります

           大切なのは、この介入でどのような効果があったか?も検証することでそのサポートもします

-マイクロバイオロジーラウンドチーム(MRT)の形成とそのサポート

 また、細菌検査技師・感染対策看護師・感染専門薬剤師からなるマイクロバイオロジーラウンドチームを形成させていただき、そのチームをサポートする形で介入させていただくことで、自分が不在時にも対応できるようにと思ってやっています。ここに常勤医師がいて欲しいですが、日常業務で忙しいなど難しいことが多いですがなんとかしています。また、血液培養陽性例は24時間365日ご連絡いただき指示するシステムがベースになっています。このようなやり方を遠隔操作といわれると悲しいのですが、、、コンサルトの限界でお許しいただきたいと思いますm(_ _)m

実際のところ、優秀な看護師・薬剤師・検査技師さんに支えられ、自分はそのような隠れた人材の発掘と彼らのやりたいことの背中を押しているだけではないかと思うことも多いです。このような介入で何ができるか?常に自問自答しているのですが、幸い各病院の耐性菌は順調に減ってはいます。「最近全然●●みなくなりましたねぇ」って言う感じのマイクロラウンドが増えてきていて嬉しいです。コンサルタントなので、自分が不要になることが一番の目標と日々思っています。”5年以内に耐性菌半減確約コンサルタント”を目指しています( ̄ー ̄)bグッ!(理想だけは高い…)

息子たちと近くの三角山登山をしたときの写真です

札幌が一望できます。山頂には30分もかからないでつきますので気軽でいい感じです(*^^*)

綺麗な景色ですねぇ。 あっ、きれいで思い出したのですが、耐性菌とか感染に関係したものを「きれい」とか「きたいない」って言う人がいますが、やめませんか・・・? 綺麗かどうかは感情が入っている言い方で現場で使うにはあまりいい感じはしません。例えば研修医が、「この患者さんの尿はきれいでした」って言うんですが、「きれいとかお前の思いを聞いてるんじゃない!膿尿はあったかきいているだ!」と指導することがあります。。。


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