拙著、「感染症非専門医・薬剤師のための 感染症コンサルテーション」が増刷されました。この本は、適切に教育された臨床感染症の専門医がとても少ない日本でどう感染症と対峙して行ったら良いのだろうか?と臨床の現場で悩んだ結果、是非”ジェネラリストなどの感染症非専門医の方々や薬剤師さんのお力をおかしいただきたい”と感じて作りました。思いはそこであったのですが、感染症は感染症医におまかせというようなのは決して良い形ではなく、様々な科・職種の方が持続的に興味を持っていただき、多方面からアプローチすることが今だけではなく、これからもより大切になっていくと感じています。いま問題となっている薬剤耐性(AMR)の世界的な状況からも、さらに非医療者も感染症に興味をいだいていただくことが大切で、そのための活動をしています。
さて、本書ですが、作成の一つの目的に今のコンサルテーションでの関わりの際の教科書が必要だと思って作った経緯があります。コンサルタントとしての関わりは十分とは言えません。常勤の医師・薬剤師さんのお力がなくてはできなく、その教科書という意味も本書はあります。
つい最近、薬事日報にこんな記事がありましたね。
自分も薬剤師がとても重要であることは全く異論はありません。記事には「感染制御チームの一員として、既に薬剤師による耐性菌の発生防止を含めた感染対策の活動は定着している」とありますが、正直ここは理想と現実かなと思います。実際に活躍している薬剤師さんはいらっしゃるのですが決して多くはありません。数はいてもほとんど介入できていない人が多いと思います。抗菌薬の使用量などのデータを出すのはできていることが多いでしょう(これができていないというのは今は無しですね…)。しかし、実際に削減や1例1例への適正使用への介入はなかなかできていないです。できていないのは薬剤師さんが悪いのではなく、感染症のコンサルテーションって難しいと思います。実際に介入しようとしてもそのやり方を間違えるとむしろ溝を作ることにもなりかねないです。「そんなの自分でできる!困ってない!」なんて医師はまだ多いと思います。つまり、多くの医師には必要とされていないんです(必要とは思われていないんです)。青木先生がmedicinaの座談会でおっしゃっていたように、本当に聞いて欲しい人は相変わらずで、それがまだまだ大多数。そんなところにどうするか?なんかもこの本では「コンサルタントのつぶやき…」としてお答えしています。
臨床感染症は今も、そしてこれからも感染症専門医に加えて、ジェネラリストなどの非感染症専門医、そして薬剤師、さらにこれからは看護師(NPなど)様々な職種が声をかけあってやっていくことが「日本スタイルだ!」ではなく、臨床の現場で普通に良いのではないかと感じています。
まずは薬剤師さん、
Antibiotics ”per pharmacist”
(抗菌薬は薬剤師の指示で)
となる時代はもうすぐだと思います。この本の内容は、薬剤師の感染症薬学臨床推論としてはミニマムです。よろしくお願い致しますm(_ _)m
帯が微妙に違いますね・・・