総合診療医として日々診療していて、よく見かける電解質異常に低K血症があります。低K血症の原因はいろいろあるのですが、研修医とやっていると平気で”摂取不足”とか”原因不明”って言うんです。「Kだけ摂取不足ってそんな奇跡が起こるんかい!」と「尿からK漏れていて何を言うか!」という感じでいつも研修医と戦い、突っ込みを入れている毎日なんですが、薬剤性をどこまで確認したか?が甘いと感じます。甘すぎなんです。そう!甘草(かんぞう)が入っている薬剤がないかをどのくらい確認しましたか?(←むりやりすぎですかね…)
低K血症の原因として、甘草による偽アルドステロン症がきちんと診断されていません。偽アルドステロン症に関してはここにわかりやすく解説してますのでもしよければご覧ください。
ではなぜ見逃されているのでしょうか?研修医でも漢方薬を飲んでいたら気が付きます。甘草は漢方医学では胃薬のひとつなので、日本で言うム○ス○…みたいな感じ?かは漢方医ではないのでわかりませんが、有名どころの漢方薬にはほぼ入っていると思って確認した方がいいですね。ところが、実は漢方薬以外にもいろいろ入っている薬剤があるんです。”いかにも西洋薬”みたいな薬にも入っています。例えばマナミンTM散、つくしA・M配合散とか胃薬系だけではなく、セキコデ配合シロップ、まさかのSPトローチなんかにも…。
さらにOTC医薬品なんかはもっともっとたくさんあるんです!実はOTC薬の胃薬、風邪薬、滋養強壮薬なんかを飲んでいたなんて病歴を聴取できていないだけかもしれません。きちんと診断されていない場合は、のちのち薬の副作用で致死的不整脈を引き起こすリスクがありますし、何より副作用で回避可能ですので由々しき事態と考え、薬に関してはこの業界では有名な出版社の”じほう”さんのお力をいただき、医療用医薬品だけではなくOTC医薬品で甘草を含む一覧を作っていただきました。なんとOTC医薬品は3000品目近くあります…( ;∀;)
以下からダウンロードできます(じほうさんありがとうをクリック)
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みなさまの日々の診療で低K血症いて尿中にもK出ていたら確認しましょう!
薬剤師さんがいちはやく見つけてほしいな・・・
写真は、以前に出した副作用を疑ったときの問診のポイント改訂版 です。
サプリメントなんかも聞いてくださいね。