すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、昨日政府が「抗生物質が効かない薬剤耐性菌への対策として、2020年までに抗生物質の使用量を3分の2に減らす目標を掲げた行動計画」を決定しました。 「国際的に脅威となりつつある、薬剤耐性の問題について、我が国として初めてのアクションプランを決定しました」と安倍晋三首相自ら発表したのは国を挙げて、アジアの中心として日本がやっていく宣言だと思います。
以下ご覧ください。
このように、抗生物質に効かない菌による全世界的な問題は極めて深刻な状況で、昨年のサミットでも重要議題の一つになっていました。日本も若干遅ればせながらではありますが動いたのは素晴らしいことだと思います。
さて、そこで今回提示された行動計画ですが、より具体的な数値目標として抗生物質を2/3に減らすとありますが、こんなに減らしても大丈夫か?と思われるかなと思います。当然必要な時に使うべきなのでただ減らせばいいのではありませんよね。抗生物質の適正使用をする際は、このようにまずは使用制限から入るのは良くある流れであり、それなりの効果があり、ステップとしてはよいのですが、ある程度のところでこの使用制限によるアプローチには限界が来ます。
つまり、やはり大切なことは”適切な感染症の知識”を医療者だけではなく一般の方も持つことが大切になります。どういうときに抗菌薬が必要でどういうときにいらないか?をみなが常識として知ることが重要です。ひとつ参考になるのがCDCの以下のポスターです。これで簡単にですが必要な時、不必要な時を確認してください。抗生物質の適正使用の最も重要な疾患が”かぜ(風邪)”です。
ただ、できればさらにどうして必要ないか?も理解することが重要です。そのための教科書としてもしよければ以下を活用してみて下さい。
青本「誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 重篤な疾患を見極める!」は医師を中心とした医療者向けです。
赤本「総合診療医が教える よくある気になるその症状 レッドフラッグサインを見逃すな!」は薬局でのセルフケアのための指南書で薬剤師から一般の方向けです。