セルフケアをサポートするための教科書を書きました。メインターゲットは本の構成にもなっているように薬局やドラッグストアなどで対応いただく薬剤師や登録販売者という設定です。セルフケアの大きな要素がやはり“がぜ”ですのでそこに多くを割きましたが、それ以外の症状は実際に聞かれる症状のデータに基づいて選びました。そのデータや本書を作成した理由となった日本の現状や岸田の“思い“に関しては、じほうさんの許可をえて”まえがき”をPDFで見られるようにしてますので、もしよければここをクリックしてください。
感染症医としてもかぜや胃腸炎などがセルフケアとなることは、直接的ではありませんが抗菌薬適正使用につながると信じています。また感染対策上も医療機関でのピンポン感染(性感染みたいですが・・・)を防ぐことにもつながります。”かぜに関する素朴な50の質問に答える!“なんかは医師の方も面白いと思います。もしよければご覧ください。対象の方それぞれに本書についてご説明します。
【薬局・ドラッグストアなどの薬剤師、登録販売者の方へ】
【新しい認定看護師・診療看護師の方へ】
【在宅など患者ケアにかかわるメディカルスタッフの方へ】
【非医療者、一般の方へ】
【医師の方へ】
【薬局・ドラッグストアなどの薬剤師、登録販売者の方へ】
セルフケア・受診勧奨の臨床推論が本書の内容です。まえがきにも日本の現状を載せましたが、ただ、そのような現状だから必要とかではなく、みなさんが真に活躍する職種として、あたりまえのスキルとしてこのくらいはしっかりと学んでほしいと医師として心から思います。職能とするならば、この内容は最低限と思ってもよいでしょう。そして何よりその知識・技術を最大限に発揮して患者さんのセルフケアをサポートし、的確な受診勧奨を指し示す一番の医療者になってください。この内容は薬局やドラッグの店頭という設定ですが、そこだけではなく、在宅などの現場でも患者さんの症状をどう判断するか?また、どのように伝えるか?などに使える内容かなと思います。ぜひ、セルフケアをサポートするためにお力をおかしください。
【新しい認定看護師・診療看護師の方へ】
特定行為を行う新しい認定看護師の重要なカリキュラムに「高い臨床推論力と病態判断力」が示されています。臨床推論は「臨床における様々な意思決定の考え方」であり、意思決定の場面は、緊急性、副作用の早期発見、検査に必要性、的確な治療薬の選択、効果の評価などさまざまあります。本書は、その中でもセルフケア・受診勧奨の臨床推論を示したものです。これは医療者が臨床推論を学ぶ上でのコアとなる考え方と自分は思います。いつどのようなタイミングで医師に相談するか?は臨床現場で常に存在するClinical Questionです。ぜひ、新しい時代の看護師によるケアにご活用してみてください。
【在宅など患者ケアにかかわるメディカルスタッフの方へ】
設定上は薬局・ドラッグの店頭としていますが、風邪症状・胃腸炎症状・痛みなどの症状へのアプローチは在宅など患者ケアにかかわるメディカルスタッフの方に必須のスキルです。緊急性の判断、レッドフラッグサインを見逃さない!などもそうでしょう。ぜひ、患者ケアにも使ってみてください。入居者やケアしている方が症状を訴えた場合に、どういう症状の時に、どのようなことを追加で聴取して、どのように考え伝えたらよいか?の手引きにもなります。ケアする人がますます少なくなる中、全員総力戦でのサポート体制には必須の知識・スキルだと思います。ご協力お願いいたします。
【非医療者、一般の方へ】
セルフケアをするように言われてもそのやり方は誰も教えてくれませんよね(どこかで聞いたようなフレーズですが…)。非医療者・一般の方も是非、セルフケアの際の薬局・ドラッグストア利用の指南書としてご利用してみてほしいです。設定は薬局やドラッグの店頭とはなっていますが、この本は例えばかぜに関しては拙著「誰も教えてくれなかった風邪の診かた」よりもかなりかみ砕いて記載し、視覚的にも訴えるようにしています。まだまだ医学用語が出てきてわかりにくい部分はあるかもしれませんが、本書は一般の方がセルフケアとして自分や家族の症状をどう判断するか?のツールとしても利用することはできるのではないかと思います。絵などを可能な限り取り入れましたので、是非、“かぜの3症状チェック”、“胃腸炎の3症状チェック”、“レッドフラッグサイン”を使って勝手に良くなる(自然軽快する)疾患群を中心にセルフケアも一つの選択肢と考えていただけたら嬉しいです。また、企業の社員勉強会などでも利用することで、職員の体調不良にどうアプローチするかだけではなくお客さんの体調不良で緊急性があるかなどの判断ツールとしても利用してみてはどうでしょうか?内科外来をやっていると、「上司が病院に行けっていうから来た」というとても元気なかぜや胃腸炎の患者さんにそれなりの頻度で出会います。あまりにも元気だったので「悪い意味ではなく、どうして受診したんですか?」と聞くと「上司が…」なんて言われます。何でも医療機関ではなく、これをもとに会社での判断ツールを作ることはこれからますます重要となります。この究極の少子高齢化・人口減少の日本が軟着陸できるように、是非ともご協力お願いいたします。
【医師の方へ】
間違って買ってしまった方すみません・・・。医師が普段の臨床に使えるか?は置いておいて(医者でも勉強になるというお声は既にいただいていますが…、すみません。)、ぜひ、風邪や胃腸炎に限らずセルフケアが可能な疾患群に関して、受診を契機に医師からもセルフケアもひとつの選択肢であることを教えてあげていただければ嬉しいです。その教えるツールとして本書を利用していただけたら嬉しいです。ここら辺を実際わかりやすく患者さんに伝えるというのも結構難しく(本書もここまで落とし込むのにも3年かかりました…)、また実際にOTCで何が売っていてどういう成分のものがあるか?というのも知らないとどう言っていいかわからないと思います。そういう視点から参考にしていただけたらと思います。是非、“かぜの3症状チェックを自分でできるように!”、“胃腸炎の3症状チェックを自分でできるように”、“レッドフラッグサインも確認できるように”というキーワードも利用して患者指導や、在宅のメディカルスタッフの指導の教科書に使っていただけたら嬉しいです。そして何より、もしご共感いただける医師の方がいらっしゃったら、このようなセルフケアの基本的な医学知識の布教活動でも(地域の勉強会など開いて)ご協力いただけたら幸いです。